ピアスでちょっと痛いかなと思ったら早めに診せに来てくださいね

2026年2月19日

ピアス部分の炎症は、痛みがそれほど強くないことも多く、「大したことないかな」とつい放置してしまいがちです。

でも実はこれが、後々取り返しのつかない状態につながることが少なくありません。

「たかがピアス」と思われるかもしれませんが、耳はとても瘢痕化(傷が盛り上がって残ること)しやすい部位なのです。

アメリカンフットボールやラグビー、相撲、プロレス、柔道などの格闘技選手にみられる、いわゆる“餃子耳(耳介血腫による変形)”をご覧になったことはありませんか?

 

それだけ耳は、炎症や外傷によって変形しやすい場所なのです。

同じように、ピアスの炎症も放置すると、肥厚性瘢痕やピアスケロイドができやすくなります。

炎症が起こると、身体は傷を治そうとして細胞を増やします。

その反応が過剰になると、皮膚が盛り上がって硬くなる「ケロイド」や「肥厚性瘢痕」になります。

さらに炎症がある状態では、金属イオンが皮膚の中に入り込み、体がそれを“異物”と認識して免疫反応を起こします。

これが異物肉芽腫です。

耳の表側ではなく、裏側だけにできていることも多いため、「ちょっと痛いだけだから大丈夫」と思っているうちに、かなり大きくなってから気づくケースも少なくありません。

今回の患者さまは、さらに2か所ピアスを開けたいとのことで来院されました。

診察してみると、開けたい部位の上にある既存のピアス部分が炎症を起こしており、耳の後ろ側に異物肉芽腫ができていました。

このような場合は、できるだけ早く金属を外し、金属イオンがこれ以上入り込まないようにします。

そして炎症を抑える治療を行います。

何もつけないままだと、ピアスホールは閉じてしまうことが多いため、当院ではシリコンのピアスチューブを使用します。

シリコン製のピアスではなく「チューブ」をおすすめしているのは、1日に数回やさしく動かせるほうが炎症が落ち着きやすいからです。

シリコンチューブに変更すると、これまで気づかなかったしこりがはっきりわかることもあります。

炎症が波及していない部位であれば、新たにピアスを開けることも可能です。

見た目はそれほど目立ちません。

炎症が落ち着くまでは、シリコンチューブで経過をみていきます。

徐々に炎症が治まり、肉芽腫も小さくなっていきますが、完全にゼロにならず、少し残ってしまうこともあります。

しっかり残ってしまうと、大きなしこりになり、特にアンテナやヘリックスなどの軟骨部位では治療が難しくなることがあります。

そのため、この部位へのピアスはトラブルも多く、慎重な判断が必要です。

少しでも瘢痕を小さくしたいのであれば、「ちょっと赤いだけ」「少し痛いだけ」と安易に考えず、できるだけ早くご相談ください。

耳には軟骨があり、もともと傷がきれいに治りにくい部位です。

じゅくじゅくしていても「ちょっと痛いくらい」と感じることが多く、受診を先延ばしにしてしまう方が多いのですが、炎症を感じたらできるだけ早く医療機関を受診していただきたいと思います。

実は院長自身も、20年以上前に軟骨ピアス2か所で炎症を起こし、しこりを残してしまった経験があります。

「少し我慢してしまったこと」と「自分では見えにくかったこと」が原因だったそうです。

その経験があるからこそ、「小さな炎症のうちに来てほしい」という想いを、強くお伝えしています。

気になる症状があれば、どうぞお気軽にご相談ください。

早めの対応が、きれいな耳を守るいちばんの近道です。