昨年までなんとか供給が続いていた、副腎皮質ステロイド注射(ケナコルト注射)ですが、数年前から生産が停止しており、六本木スキンクリニックでも卸業者さんに残っている在庫を回していただきながら対応してきました。
しかし残念ながら、昨年末をもって当院でも入荷が完全に終了しました。
ケナコルト注射は、強力な抗炎症作用によって花粉症のつらい症状を一気に抑え、1回の注射で約2〜3か月効果が持続するという、即効性・持続性の高い治療でした。
「1回の注射で、そのシーズンの花粉症をかなり楽にのりきれる」という点で、症状が強い方にとっては非常に魅力的な選択肢だったと思います。
ただし、ステロイド注射を連続・定期的に行うことは、重い難病や命に関わる疾患の方に限られる治療です。
花粉症に対しては年に1回程度の使用であれば問題になりにくいとされていましたが、通年性の鼻炎の方には不向きな治療でもありました。
それでも、年1回の花粉症が非常につらい方にとっては、本当に頼りになる注射だっただけに、現在はこの選択肢がなくなってしまったことを残念に感じています。
現在、保険診療で使用できる注射として、ゾレアというものがあります。
ただしゾレアは、もともと重症喘息の治療薬で、そこから重症花粉症の方に限って適応が拡大されたものです。
そのため
・重症度を判定するための検査が必要
・適応基準を満たした方のみ使用可能
・症状が重いほど使用量も増える
といった条件があり、保険適用であってもトータルで数万〜数十万円かかるケースもあります。
ケナコルト注射のように、2,000円程度で、1回の注射で1シーズンをのりきれるという治療は、現在は存在しません。
そこで、おすすめしたい治療が「ヒスタグロビン注射」です。
ヒスタグロビン注射は、花粉症を含むさまざまなアレルギー症状に対して、体質改善を目指す治療です。
週1〜2回の頻度で3週間継続し、1クール6回が基本となります。
治療終了後、約1か月ほどで効果を感じ始める方が多く、効果が出てくると2〜3か月程度持続するとされています。
ただし、症状の重さによってはもう少し回数が必要になることもあるため、花粉が本格的に飛び始める前の早めの開始がおすすめです。
ヒスタグロビン注射は、人の献血から採取された免疫グロブリン(抗体成分)に、ヒスタミンを結合させて作られたバイオ医薬品です。
特定の花粉だけを対象とするアレルゲン免疫療法とは異なり、幅広いアレルギー症状に効果が期待できるとされています。
そのため、花粉症だけでなくアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患を併せ持つ方にも適した治療です。
症状が落ち着いた後も、効果維持のために2〜3か月ごとに定期的に注射を続けることができ、通年性アレルギー性鼻炎の方では数か月おきに接種して症状をコントロールするケースもあります。
ヒスタグロビン注射は、数秒の皮下注射で終了します。
注射後の特別な行動制限もありませんので、お仕事やご予定のある日でも受けていただけます。
花粉症の方はもちろん、アトピー性皮膚炎の方、慢性蕁麻疹の方も、ぜひ一度ヒスタグロビン注射をお試しください。
世の中には、少しの不調であれば、薬に頼らず自然に任せてもよいものもたくさんあります。
ですが、「これはお薬を使った方がよい」と思うものの一つが、花粉症です。
強い薬を使うかどうかはまた別の話ですが、なぜ花粉症に対してきちんと治療をしたほうがよいのか。
それは、花粉症が「一時的な炎症」ではなく数か月間続く慢性的な炎症だからです。
虫刺されのように1回だけ起こる炎症とは違い、花粉が飛散している間は、鼻の粘膜、皮膚、目の結、のどに繰り返し炎症が起こり続けます。
症状の出方は人それぞれですが、体のどこかで炎症が持続している状態になります。
そして実は、この「慢性炎症」こそが、老化に深く関わっているのです。
そのため、花粉症がある方で肌の老化を気にされている方は、アレルギー薬を適切に使用する、もしくは体質改善治療を行うなど、炎症を起こさせないこと自体が、最大のアンチエイジングになります。
花粉症は「仕方ないもの」ではありません。
毎年つらい思いをしている方こそ、ぜひ一度ご相談ください。