花粉症では内服はある程度効きます。
でも、それでも少し鼻が、というなら点鼻薬も追加します。
水のような鼻水のとき、抗ヒスタミン薬の点鼻を処方します。
鼻が詰まってる感じならステロイド入りの点鼻をお出ししています。
ほかにも、目の症状や、花粉皮膚炎がある方にはそれに合わせてお薬をお出ししています。
症状によって、目では抗アレルギー薬の点眼薬と、非ステロイド系の抗炎症剤、ステロイドを使い分けてもらっています。
肌では、かゆみ止め、赤み用、保湿、ステロイドの外用薬を使い分けてもらっています。
そして、最近では新しい花粉症の自己注射が出ました。
ただ、保険がきいても高額です。
3割保険がきいても、300mgの方で17,488円(体重によって変わります)
また、ゾレアを処方するには適応基準がちょっと厳しくて
- 12歳以上で、体重が20〜150kgの範囲の方
- スギ花粉抗原に対する血清特異的IgE抗体がクラス3以上の方(採血でわかります)
- 血清中総IgE濃度が30〜1,500IU/mlの範囲にある方(採血でわかります)
- 昨シーズンに抗ヒスタミン薬と鼻噴霧用ステロイド剤を使用されており、かつ今シーズンになって抗ヒスタミン薬を1週間以上使用しても効果が不十分であり重症、最重症のスギ花粉症であると診断できた方
一回筋注すると、約1か月ぐらい効果が持続します。
有効率は95%以上です。
投与量の多少にもよるでしょうが、かなり効きます。
「筋肉注射で花粉症が治った」といってる方がいる場合は、まず、この持続性ステロイドである「ケナコルト」の筋注です。
但し、この治療は、通年性のアレルギー性鼻炎の方には使いにくいものです。
季節性のスギ花粉症の場合は年に1回でいいのですが、通年性だと、注射の効果が切れると、また注射という風に、繰り返しずっと使うことになってしまいます。
中身が「長期に持続するステロイド」ですから、結局はステロイドを毎日飲んでいるようなものになってしまうと、自分の副腎が副腎皮質ステロイドホルモンをさぼって作らなくなってしまうからです。
もちろん、多くの病気で、長期にステロイド剤を内服し続けなくてはいけない方もいます。また一生飲まなければだめかもという方も少なくありません。
ステロイドというのはそれくらい万能で、多くの重症疾患に何でも効く万能薬に近いからです。
ずっと1か月ごとに注射をつづけると、
糖尿病悪化、副腎皮質の機能低下、顔が膨れる(満月様顔貌)、月経異常、皮下出血、感染症になりやすい、などなど、一般的に言われているステロイドホルモンによる副作用に注意する必要があります。
ただし、毎日内服したとしても頻度的には満月様顔貌と月経異常は3~4%と多いものの、その他は0.1~1.0%と少なめではあります。
取り返しのつかない副作用というのは、そうそう出現しないという見方もありますので、そのスタンスに立てば、有効率が95%の素晴らしい治療ということになります。
「花粉症ごときに、ステロイドなんて薬を使うなんて」と思うかもしれませんが、年に一度だと、それほどの量ではありません。
ケナコルトの適応症に「アレルギー性鼻炎」とありますので、ちゃんと健康保険適応なんです。
私はアレルギー体質が全くないのですが、ノミにものすごく刺された時。
歯を抜いて腫れあがった時、そのまま蕁麻疹も出てしまったとき。
自分で注射しました。
ほかにも、ハチやアブに刺されてものすごくはれ上がった方や、難治性の蕁麻疹の方にも注射をお勧めすることがあります。
花粉症の方の場合は、その方の生活習慣に合わせて、鼻声とか困る、鼻が詰まると頭がボーっとしてしまうから症状強くなくても困る方など。個人の生活習慣を、尊重しています。
「もう、この花粉症、どうにかして」という方には、ぜひご相談くださいね
ステロイドというと怖がる方もいらっしゃいます。なぜなら、重症の病気に効果があるので、そういう方は長年継続して体に入れることになります。
そうすると副作用がやはり出てくるからその副作用ばかりをネットで目にしてしまうからです。
「しかし、リスクを極端に恐れず、適正使用し、副作用の発現に注意し、患者さんにベストの結果を提供する」
というのは、医師の役目だと思います。
そして、私自身がずぼらで毎日内服とか面倒になってしまうタイプなので、自分だったら1回の注射を希望してしまうと思うのです。
だから、六本木スキンクリニックでは、花粉症用に年1回のケナコルト注射を行っています。
1回2200円です。
ご希望の方は是非。予約をするほうがベストですが、予約なしでも大丈夫です。
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